■ 「練馬区の危機管理」(要旨)/危機管理室 平野和範室長
地震のときや子どもさんが不明になったときなど、区内在住の人には、臨機応変に対応していただくことになります。
なにかあったとき、どれくらい臨機応変に対応できるかが危機管理です。
災害時には、大きく言って自助、共助、公助の3つがありますが、その考え方にしたがって危機管理は成り立っています。地域は、自らのことは自らで守り、地域で助け合うことが基本です。
皆さんの保育園の近くの小中学校が避難拠点です。その場所を知っておくことも大切です。
■ 防災研修「練馬区をとりまく災害と区職員としての心構え」(要旨)
/危機管理室防災課区民防災第二係 竹岡博幸係長
※ (ご紹介)東京都の派遣期間、危機管理に携わりました。
※ 講義で使った資料は、<資料1>です。申し訳ありませんが上述したとおり、パソコン上でのみ見ることができるpdfファイルとなっています。
「危機」とは、いったいなんでしょう?
地震は? 台風は? 新型インフルエンザは? 区のパソコンのデータを消してしまったことは? これらは危機に当たるでしょうか。
これらはすべて、危機をもたらす可能性があります。練馬区危機管理指針では、危機の種類として、甚大な自然災害、特殊災害(大規模災害)、武力攻撃・緊急対処事態、健康危機、生活上の危険などが定められていて、これには情報漏えいも入ります。このように危機を招く機会は山のようにあります。
<資料1>2,3ページ
危機とは、「練馬区危機管理指針」によって
- 区民の生命・身体・財産を脅かす重大な事態
- 区の行政運営・行政サービスに重大な支障を及ぼす事態
- 区の行政信頼を著しく失墜させる事態
と定められています。
したがって、「危機管理」とは、「危機を未然に防止し、また発生した時に被害を最小限に抑制するための諸活動」であり、危機管理には、平常時に行う「危機の未然防止活動」「緊急対応の事前準備」および「緊急時の対応」「危機終息後の対応」などがあります。<資料1>4,5ページ
次に自然災害について、掘り下げていきましょう。
区をとりまく自然災害の種類は、地震と水災害の2つです。
【地震について】
日本は地震大国です。世界で発生したM6以上の地震の約2割が日本で発生しています。<資料1>7ページ
最近では、昨年も岩手・宮城内陸地震などがあり、いつ東京でも地震が起きてもおかしくない状況です。

南関東(左図)で今後30年以内にマグニチュード7程度の地震が起きる確率は、どれくらいだと思われますか? <資料1>8,9ページ
阪神・淡路大震災はマグニチュード7.3、新潟県中越沖地震はマグニチュード6,8。同じ程度の地震と思ってください。
1)10% 2)30% 3)70%
(多くの人が70%に手をあげる)その確率は70パーセント。大地震はいつ起きても不思議ではありません。
では、別のリスクはどれくらいの確率でしょう。
同じ30年以内に発生する確率として、火災で死傷する確率は0.2パーセント、交通事故で死亡する確率は0.2パーセント ジャンボ宝くじで100万円以上当たる確率(年4回20枚ずつ買った場合)は、0.3パーセントです。
皆さん、天気予報で降水確率70%といわれたらどうしますか? 私なら、傘をもって出かけます。こう考えると、地震にも備えないといけません。 <資料1>11ページ
練馬区の被害想定です。 <資料1>12ページ
東京ディズニーランド沖で、マグニチュード7.3の地震が、冬の夕方18時に、風速秒速15メートルのときに発生した場合、区内も甚大な被害が出ます。
【水災害について】
最近では「ゲリラ豪雨」という言葉が聞かれるようになりました。
過去10年間の区内の水害による主な被害はこちらです。<資料1>14ページ
平成11年7月21日に起きた、いわゆる「練馬豪雨」は、1時間に131ミリもの雨が降りました。この記録は未だに都内の第一位の記録となっています。
平成17年9月4日の大雨では、都内で6000棟の浸水被害が発生しました。区内でも石神井川の一部が氾濫し、大きな被害が出ています。レーダーによる雨雲の様子はこちらです。<資料1>15ページ
お隣の中野区妙正寺川北原橋付近の写真です。<資料1>16ページ
練馬区立南大泉図書館も、外の手すり付近まで、水がきたようです(写真右)。図書館のなかの様子と本も被害です。多くが廃棄処分となりました。
<資料1>17から19ページ
なぜ、このような豪雨が発生するのでしょう。
1時間に50ミリ以上の雨は、気象庁では非常に激しい雨にあたります。過去15年の豪雨発生状況の分布をみると、山手通りから環八通りの間など、区部西部付近や多摩西部に集中しています。<資料1>20ページ
このような豪雨が降る最近の説では、ヒートアイランド現象があります。ヒートアイランドなどによって、都心部の地上近くの湿った空気が暖められ、大きな積乱雲を作ります。このようにしてできた積乱雲が、3方向からの海風により23区北西部上空で集まったことで、集中的に大雨を降らせると言われています。(<資料1>21ページ。「東京都豪雨対策基本方針」より)
とはいえ、いつも起きるということではなく大気が不安定なときに、豪雨になる場合があります。
災害時において、区職員には、何が求められているでしょうか。
災害が起きた場合、区にはまず、区民の生命・身体・財産を災害から守ることが求められます。大きな災害では危機管理室内職員だけではまかないきれないので、役割分担により全庁的に職員すべてが災害対策業務に従事することが職務となります。<資料1>22ページ
区には水災害を主とした対策に関する参集(動員)基準があります。自分がどの段階で動員されるかを、確認をしておいてください。主に水災害対策としての動員の段階は、第1次から第4次まであります。<資料1>23ページ
地震による参集基準もあります。緊急初動要員とは、災害発生時において、あらかじめ指定された参集場所に出動し、応急活動を行う職員です。それに当たっていない一般職員も指令により参集される場合があります。誰もが災害対策要員を担います。また、震度6弱の場合は、指令を待たずに即参集となります。<資料1>24ページ
最後に、災害対策における練馬区職員としての日常の心構えです。
まず、自分の家の安全確保をはかっておいてください。地震のとき、自分や家族の生命は大丈夫でしょうか。寝ている場所に、落ちてくるものとかありませんか? 家具を金具で固定したり、ガラスにフィルムを張るなどしてください。
その他に、物を買ってこなくてもできることとしては、今夜から、スニーカー等を枕元においておきましょう。割れたガラスを踏むことなく逃げることができます。思い立ったら吉日です。非常用の物資、生活用品など、最初の3日分も備えるようにしておきましょう。<資料1>25ページ
また、職場の安全確保もはかってください。来庁した区民と職員の安全も確保しましょう。棚の上にあるものの整理整頓、避難誘導など、職場の安全対策を実施してください。
緊急の出動、参集に備えて、準備をしておいてください。防災服など、行動しやすい服装で参集してもらうことになります。水、食料、手袋等一式を、ふだんから自宅に備えておいてください。<資料1>26ページ
そして、ふだんから家族を含めた周辺の皆さんに、理解を求めておいてください。家族が不安ななかで参集しても仕事に手がつかないこともあります。こういった事態では参集しなければいけないと、理解を深めておくことが大切です。災害用伝言ダイヤル171など、家族同士の連絡の仕方や安否を取り合う方法も話し合っておいていただきたいと思います。<資料1>26ページ
区民の生命・身体・財産を守るために、練馬区職員として、皆さん一人ひとりが災害対策業務としての職務を果たすことを期待しています。 |