ねりま減災どっとこむ

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2006/レポート1
(依頼原稿)

<演習> 平成18年度 第十消防方面本部・練馬区合同水防演習(5月11日
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 平成18年度 第十消防方面本部<編注1>・練馬区合同水防演習が行われました。

1. 練馬区における水害と水防演習の概要
 5月11日木曜日午前中に、練馬区立びくに公園(東大泉二丁目)で、多数の区民や防災機関の参加<編注2>で、大規模な「水防演習」が行われました。

 全国の水防演習・訓練においては、大河川の堤防が激流によって破壊されることを防ぐ工法などが、多く行われています。けれども、幸いにも練馬区には堤防をもつ河川はありません。どちらかというと、河川の溢水(いっすい)<編注3>による浸水や、下水道の排水能力を超える降雨により、周辺に雨水があふれて起こる浸水 <編注4> に対処する水防演習・訓練を行っています。

 今回の水防演習では、次のような項目が実演されました。

監視警戒活動、道路啓開活動(道路障害物除去活動)、水防工法、避難勧告・避難訓練、工法等見学と体験、工法点検、浸水水没車両からの救助訓練

 また展示、体験関係では、次のような項目がありました。

消防関係車両展示、土嚢(のう)体験コーナー下水道局展示、東京電力発電車等、降雨体験、防災用品展示、止水板展示(防災用品展示の東京都葛飾福祉工場と東京電力株式会社から、参加者に防災用品がプレゼントされました。)

2. 練馬区における最近の水害と対策
 昨年(2005年)9月4日には、練馬区内で、1時間に100ミリを超える雨が降り、床上・床下浸水を合わせると700件を超える浸水被害生じました。同日、お隣の杉並区と中野区では、これ以上に強い雨があり、多数の家屋が浸水し、災害救助法が適応されました。いわゆる都市型集中豪雨 <編注5> と呼ばれるものです。

 今年も、これからだんだんと強い雨や台風の季節になります。練馬区内で生じている浸水被害は、道路上数十センチのものが多く、普段から準備しておけば、十分に防げるものもあります。一方、半地下の駐車場をもつ住宅などは、急な増水に対応できにくい場合があります。早めの対処や避難を心がけることにより、最小限の被災で済ますことを、目指しましょう。

 練馬区では、水害に関する「洪水ハザードマップ<編注6>を公表しています。このマップに示されているような浸水が、直ちに発生するというものではないと想定されますが、少なくとも浸水しやすい場所は、明らかになっています。したがって、このマップで浸水が想定されている場所にお住まいの方は、ご自分でも「自衛手段」を講ずる必要があります。
 浸水防止(止水板、土嚢(のう)、ゲル化水嚢(のう)、水嚢(のう)(筆者自らがプライベートで作った例))の方法を実行できるようにしましょう <編注7>。水害の被害は、誰も補償してくれない場合が多いので、対応する損害保険に加入しましょう。

 自分で避難することが困難な人は、台風や大雨などで浸水被害が想定されるときには、あらかじめ第三者の助けを借りてでも、家族や友人・知人の家、ホテル・旅館、公共の避難所(自主避難については、事前に区役所への相談が必要)などの、別の場所に避難しておくということも、命を守る賢い選択なのです。

3.訓練・演習実施に係る考え方について
 大規模な防災訓練・演習では、そのような訓練の性質から、どうしても参加している住民が、単なる観客になってしまい、防災訓練というよりは、「防災ショー」になってしまうという問題がつきまといます。練馬区では、今回の水防演習で、従来にもまして区民の参加・体験型部分を充実しています。また新しく指定された防災職員寮生(緊急初動対応などの要員)も演習を参観・体験するなど、ますます充実した「水防演習」となっていると言えます。

 一方、防災機関の参加態様を見ますと、主催は区と消防ですが、それ以外の防災機関も、それぞれの災害時の役割に従って活動しています。それぞれの防災機関が、演習・訓練を通じて、災害時の協働の仕組みを確認しているという意味で、有意義な演習・訓練となっています。

(この訓練は、区民の立場で拝見していましたが、訓練終了後、「ねりま減災どっとこむ」より、レポート執筆の依頼がありましたので、私見を含めて、簡単にまとめさせていたただきました。)

会場の看板
レスキュー隊による救出の演技
降雨体験車(国土交通省)
土嚢(のう)体験コーナー
止水板の展示
土嚢(のう)による浸水防止工法
レポーター
高橋 洋 氏
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