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2008/レポート1
(取材報告)

家具の転倒防止講習会 〜地震に備える〜
6月29日10時00分〜12時00分頃)

 2008年6月29日、練馬区役所本庁舎7階の防災センターにおいて、家具の転倒防止講習会が開催されました。
 主な内容は、前半にビデオなどを交えながら地震対策についての話があり、後半には、L字金具の固定と壁に穴を開けられない場合の家具の固定方法について学び、いくつかのグループに分かれて、ガラス飛散防止フィルムを実際に貼ったり、割ったりしてみました。
 主催は防災課で、実技では、くまさんの会にご協力をいただきました。
 ここでは、そのごく一部(下の画像は家具転倒防止に関連する事項のみ)をご紹介します。 

首都直下地震における練馬区の被害想定

 関東地方には、西暦1600年以降、200年から300年間隔でマグニチュード8クラスの大きな地震が起きています。1703年の元禄大地震と、1923年の関東大震災がそれにあたり、その間にもマグニチュード7クラスの地震が数回発生するとされていて、東京都を含む関東地方では、専門家からはいつ発生してもおかしくないと警鐘を鳴らされています。それが、首都直下地震です。
 
  首都直下地震の被害想定はいろいろありますが、東京都の発表では、右の図のようになっています。

練馬区において震度6弱、死者156名、負傷者4470名、うち屋内収容物による負傷者は1276名、火災33件、全部が壊れる建物が1582棟などとなっています
覚えてほしい2つのこととは?

 都市部に大きな被害をもたらした直下型地震に、阪神・淡路大震災があり、残念ながら、数多くの死傷者をもたらしました。その震災の最大の教訓は、「家」や「家具」が瞬時に人命を奪ったことにありました。死因を調べると、8割を超える方が家屋の倒壊や家具の転倒で亡くなったとされています。
 したがって、もっとも有効な地震対策は、地震に強い家に住むことと、家具の転倒防止を行うこと(寝室に家具を置かない、向きを変える、重いものは下に置くなど)になります。

家具を固定する方法と、ガラスが飛び散ることを防止するフィルム(ガラス飛散防止フィルム)の貼り方を覚えましょう。 家具の固定では、L字金具の取り付け方と、壁に穴を開けることができない場合を学びます。
家具が転倒する傾向

 激しい揺れで、家具や冷蔵庫、テレビ、ピアノなどがいとも簡単に倒れたり、飛んできたりします。すべての家具を固定するのは難しいでしょうから、台所やリビング、寝室など、日頃多くの時間を過ごす部屋から順に安全な空間に変えていきましょう。
 一戸建てで大して揺れなくても、マンションの場合、上層階にいくほど、大きく揺れますから、家具の固定は必須です。
 東京消防庁では、家具類の転倒・落下防止対策について、いろいろな研究を行っています。東京消防庁のトップページから順に、 「公表・報告」をクリックし、「地震対策関連情報」の検討結果を見てください。

倒れやすい家具は、背が高く、奥行きが浅い家具です。マンションや高層ビルなどは、地上より大きく揺れるので、上層階ほど家具が転倒しやすくなります。また、フローリングのような固い床よりも、じゅうたんや畳は倒れやすいといえます。
地震が起こる前までに「どれだけ備えておけるか」がポイントに!

 大地震では、みなが一斉に救助を求めます。そうなると、 消防署や警察署の人があなたの元にくることは難しいでしょう。地震に強い(倒れない)家と家具の転倒防止に加えて、右図のポイントをするよに心がけましょう。
 なお、大地震のとき、避難所と防災拠点の役割をする区立小中学校に避難する場合は、火の手が目前に迫っていたり、家が倒壊しそうなときに限ります。学校には全区民を収容しきれませんし、収容できたとしても、プライバシーはなく寿司詰め状態になります。また、地域がからっぽになると、泥棒などが出没することにもつながります。災害時こそ、みんなで地域にとどまり、力を合わせて活動する必要があります。

日頃からご近所と顔見知りになっておき、互いに助けあうことができる人間関係をつくっておくことや、ケガをしないように、家具の転倒防止器具の設置し、防災用品の備えるといったこと、また災害用伝言ダイヤル171などといった家族との連絡方法を決めておいたり、避難場所や物資をもらえる場所を知っておきましょう
会場の様子
金具は、後ろに柱がある位置に打たないと抜けます
最近では、テレビ用、うす型テレビ用、スチールの棚用、冷蔵庫、ピアノ、パソコンなど、それぞれに適した固定器具が売られています。こうした器具は、量販店でも手に入ります。固定が難しい場合には、信頼できる大工さんなどに相談するとよいでしょう。
※ 窓ガラスに貼る防犯フィルムは、ガラス飛散防止フィルムより強いものです。防犯フィルムでも構いません。
※ タンスなどは、上を金具で固定し下に「ふんばる君」というビニール状のものをはさむと、より効果が大とされています。
時間の合間に、個別相談も…
交代でガラスにフィルムを貼ってみます。

○参考:練馬区であっせんしているガラス飛散防止フィルム(スーパーや量販店、デパートなどで購入できます)
○貼り方:ガラス飛散防止フィルムの貼り方(pdfファイル)(防災課作成)
 ポイントは、フィルムをヘラで抑えていく前に液体洗剤を薄めたものでスプレーすること(傷がつかずに滑らかに滑らせることができる)と、窓ガラスに合わせて切るときに高温時にフィルムが伸びても支障ないように、ヘラ分、3ミリ位小さく切ることだそうです。

【感 想】
 皆さんは、自宅や職場でガラス窓の近くでくつろいだり、寝たりしていませんか? ベットの場所は、モノが落ちてこない場所ですか? テレビは台の上にありますか? それとも地べたに置いていますか?
 落ちてこない場所に寝る、重いものは低い場所に置くー、遠くない将来やってくる大地震でケガをするかしないかの差は、そこから生じます。高齢者のひとり暮らし、高齢者のみ世帯の方、身体・知的障害のある方は、区の助成(かかる費用の一部を区が補助する)がありますので、ぜひ利用しましょう。
 >> 家具転倒防止器具の取付費助成 / 練馬区 暮らしのガイド
 地震に関する助成について  >>地震の助成制度一覧

 今回の講習会は、皆さん熱心に質問する姿なども目にしました。同様の区主催の講習会は、次回9月21日10時より光が丘区民センターにて実施の予定とのことです。

 なお、今回ご協力いただいた「建築防災くまさんの会」は、大工さんやボランティアなどで構成される任意団体です。ご自身で研究をなさる一方、現在は定期的に家具の転倒防止金具の取り付けやガラスの飛散防止フィルム貼りの講習会を行っています(開催予定は、区報の「区民の広場」など)。

レポーター
秋山 真理(ねりま減災どっとこむ)

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